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大手町デンタルクリニックのDACユニバーサルS


8年間使用していたオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)のDACユニバーサル(※@)の入れ替えを先月行いました。当院では院内感染(※A)対策のため器具の消毒滅菌(以下「滅菌」といいます)には特に力を入れています。

新型コロナの影響もあり「院内感染」という言葉も耳にすることも増えてきました。

「(患者様)歯医者の歯を削る機械の消毒滅菌はどうしているのだろう?」
「(クリニック様)今後DACユニバーサルSの購入(or入れ替え)を検討中」

 などと考えている方もいるかと思います。

今回はその院内感染対策の中核を担う当院のDACユニバーサルSのご紹介をしたいと思います。

※@治療で使用する歯科用ハンドピースの専用の滅菌器。今回DACユニバース2→DACユニバースS(最新機種)へ入れ替え。

※A医療従事者⇔患者様、患者様⇔患者様、の感染。

■なぜ専用の滅菌器が必要なのか?


歯科用ハンドピースの内部と超音波スケーラーのチップ

 当院は開業当初(2000年より)からハンドピースを患者さん毎に交換しており、DACユニバーサル導入前は使用後のハンドピースを、@人の手で「洗浄」→Aスプレーで「注油」→Bオートクレーブで「滅菌」の3ステップを行っていたため大変時間と手間がかかりました。

 ピンセットやデンタルミラー(鏡)などと違ってハンドピースは精密機械なのでギア(歯車)やベアリング、細く曲がっている回路で構成されているため内部の洗浄は困難を極めます。

 また、手作業によるスタッフへの感染リスクや注油量の個人差などあるためハンドピースの管理の効率化や均一化などが課題でしたが、DACユニバーサルを導入してからは一度にすべてが解決できるようになり大変助かっています。

■オートクレーブが必要な理由

  
 一度患者様のお口の中に入れたハンドピースを「アルコールで拭くだけで良い」と言う方はいないと思いますが、そのアルコール消毒でだけでは不十分な場合(※B)があるため、毎回オートクレーブ(※C)を代表とするすべての微生物を死滅させる処理(=滅菌)が必要とされています。

※Bウイルスの中にはアルコール消毒の効果がないグループが存在します。(例)手足口病やヘルパンギーナの原因となるコクサッキーウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、腸炎の原因となるノロウイルスやロタウイルス、など。

※Cオートクレーブ:高圧蒸気滅菌器といい121〜134℃、2〜3.5気圧の環境下ですべての微生物を死滅させる。

■DACユニバーサルSとは?


DACユニバーサルS

 全自動(ボタン一つで)で歯科用ハンドピース(タービン、ストレート&コントラアングル)を最大6本まで内外部の洗浄、注油、滅菌の一連の処理を約20分で完了するクラスS(※C)のオートクレーブ(小型高圧蒸気滅菌器)の1機種になり、最新機種は「DACユニバーサルS(※DEFG)」になります。

 ハンドピースの滅菌はプレバキューム方式のクラスB(※H)のオートクレーブも適していますが「洗浄」と「注油」を考えるとDACユニバーサルSの方がすべてのステップを網羅しているため効率的です。

※CクラスS:ヨーロッパ規格EN13060でメーカー特定の中空物(ハンドピースなど)、非包装の固形物に対応。

※D洗浄プロセス:国際規格EN ISO 15883-1/-2に準拠。
※E滅菌プロセス:国際規格EN ISO 13060およびISO 17665-1に準拠。
 
※F再処理可能な機器:ストレート&コントラアングルハンドピース、タービン、超音波スケーラー、超音波スケーラー用音波ハンドピースとそのチップ。

※G製造販売:デンツプライシロナ株式会社 認証番号:302AKBZX00103000

※HクラスB:一度真空状態にし滅菌。ヨーロッパ規格EN13060で全ての形状の被滅菌物に対応。

■歴代のDACユニバーサル


DACユニバーサルSとDACユニバーサル2の比較

  DAC(ダック)ユニバーサルシリーズは
ユニバーサル → ユニバーサル2 → ユニバーサル2GUI → ユニバーサルS(最新機種)
  と改良されていますが基本的な性能はほぼ変わりません(もともと一定の基準をクリアしている必要があるため)。 

■DACユニバーサルSと2の同じ点


  「S」も「2」基本性能(※I)は同じで最大6つのハンドピースをボタン一つで約20分で洗浄〜注油〜滅菌ができます。

また、ユニバーサル2で使用していたハンドピースをリッドに接続するアダプターと給水系のニトラデム・ダイレクトコネクト(脱塩水自動供給装置)はそのままユニバーサルSにそのまま移行できます。

 そのため、今回は本体だけの入れ替えだけで追加の機器の設置や交換は無しで行うことができました。

※IDACユニバーサルシリーズの滅菌の有効性の範囲の主なもの
 殺菌性   :結核菌、黄色ブドウ球菌、他
 殺真菌性  :カンジダ・アルビカンス、他
 殺ウィルス性:COVID‑19、HPV、HBV、HCV,SARS-Co-2,インフルエンザ、アデノウィルス、ノロウィルス、他
 その他   :プリオン

■DACユニバーサルSと2の違う点


 さて、変更点になりますが

@デザインとサイズが変わった


  「S」は外観のデザインが変わりサイズがひとまわり大きく(高さ+5p 幅+3p 奥行+5p)なりましたが機種が変わっても同じ場所に設置できる範囲だと思います。

Aリッドが変わった


  
DACユニバーサルSのリッド

 最大の違いはリッドが変わった点と「2」ではあったバスケットセット(インスツルメント用の円柱状の網のカゴ)の設定が「S」では無くなった点です。

 「2」ではリッドが1種類だけでしたが「S」では「超音波スケーラー(歯石を取るためのハンドピース)」専用のリッドが追加され2種類のリッド(※JK)が設定されました。

 また、「S」ではバスケットセットが設定されてないため完全な「ハンドピース専用の滅菌器」となりました。

※Jリッドの色:ピンクは回転切削系(注油あり)、ホワイトは超音波系(注油なし)。

※K回転切削系の接続用のアダプターは国内外の各メーカーに対応していますが、超音波系は対応してないメーカがあるため事前に確認しておくと良いと思います。

Bメインテナンスがしやすくなった

   
 毎週、排水フィルターを清掃のため着脱する必要あるのですが、その取付位置が「S」では背面から前面右下となりメインテナンスがしやすくなりました(「2」は背面にあったため手探りで探す必要がありました)。ちなみに 「2」で使用していた排水フィルターは「S」では使用できません。

このようなメリットが多くありますが、デメリットとしては設置スペースの確保や導入コストが多大(有名ハイブリッドカー位)になる点が挙げられます。

 定期的なメインテンスとコストがかかりますが患者様の安心安全の確保には代えられません・・。


【参考文献】DACユニバーサル2、DACユニバーサル2GUI、DACユニバーサルS、製品カタログ(デンツプライシロナ株式会社)

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